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シドニーシリーズ第4弾は、オーストラリアで最初に建てられたカトリック教会、セント・メアリー大聖堂。
サンドストーンに薔薇窓、尖塔がパリのノートルダム寺院を彷彿とさせるこのカトリック大聖堂は、数々の教会建築を手掛けたイギリスの建築家ピュージンの手による、ゴシック・リヴァイヴァル建築である。
現在の建物は1864年の火災による焼失後の1928年に、63年もの歳月をかけて再建された。聖堂の長さは107mにもおよび、スックと佇立する尖塔は2000年オリンピック前に修築されたもので、高さ74.6mを誇る。
大聖堂内に足を踏み入れると高い天井を支えるアーチ型の柱が連なって、神聖な場へと優しく誘っている。荘厳なステンドグラスは、昼間なお薄暗い教会内に複雑な光を紡ぎだし、メロッコ兄弟によるこのうえなく優美なモザイクの床とあいまって、神の懐に抱かれるかのような空間を創り出している。
再建の2年後の1930年には、当時のローマ法王ピウス9世が、シドニー・セント・メアリーズ大聖堂が教会堂より上位のバジリカであることを認定。2008年6月には、当時のローマ法王ベネディクト16世がこの大聖堂を訪問。現在もオーストラリアにおけるカトリック信者の中心となっており、歴代のシドニー大主教はここで職務を執っている。
多くのカトリック信者がここに祈りを捧げに来ており、シドニーのカトリック信者の心のよりどころとなっている大切な場所なのである。
正面広場の奥には水がはられたエリアになっていて、セント・メアリー大聖堂の荘厳な姿が映し出されている。水エリアの地下はプールやバスケットコートなどがあるスポーツ施設というのも、シドニーらしいユニークな仕掛けである。
稲葉 秀一
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