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『横山大観をはじめとする近代から現代旦る日本画を中心に郷土安来が生んだ炎の詩人 河井寛次郎と稀有の料理人 北大路魯山人にニ巨匠による陶芸、平櫛田中の木彫、林義雄らの童画、さらには院展同人の代表作や足立美術館賞受賞作を中心に足立美事術館賞を中心とした現代日本画など約1500点の美術品を収蔵公開』している足立美術館のことは、建築散策記15でご紹介したとおり、米国の雑誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング/JOJG」において日本の庭園部門で2003年から2013年まで連続で堂々1位となっている。そのアメリカ好みともいえるダイナミックな庭園の片隅に、なんとも味わい深い茶室が佇んでいる。
その名も“寿立庵”。桂離宮の茶室「松琴亭」の面影を映したものだとか。茶室の壁は聚楽塗り。壁の黒ずみは“油壁”といって、菜種油を刷り込み自然な風合いを創り出している。また、玄関外の壁は鉄分を含んだ金茶の色艶が、蛍にみえることから“蛍壁”とよばれ、訪れる人々の目を愉しませている。
一幅の絵画をみるような足立美術館庭園のなかでも『楓の紅葉が最も美しいのが寿立庵の庭園です。木の種類によって多少異なりますが、紅葉は11月中旬から12月初旬までお楽しみいただけます』とのこと。ちなみにフランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも、足立美術館の日本庭園が三ツ星(わざわざ旅行する価値あのある=最高評価)を得ている。次回はぜひとも秋の足立美術館、寿立庵を訪れてみたいものである。
※『』内は足立美術館のご案内より引用
稲葉 秀一
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