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平成21年10月より“平成の大修理”の只中にある姫路城が、来年の3月の終了を前に大天守を囲っていた作業場「素屋根」を取り外し、完成に近づいた姿を現した。
『平成21年に喜斎門(市立美術館側)から素屋根の資材を備前丸(大天守南側)まで運ぶための準備にあて、平成22年度からは大天守を覆う素屋根の建設を行い、平成23年度から壁面の修復や瓦の葺き直しなどの修理工事を実施』した。今年は1月より『素屋根や構台などの仮設物の撤去を開始し、平成27年3月に終了予定』(姫路路サイトより)
築城から400年、全面を解体しての大規模な昭和の大修理から50年の歳月が流れ、漆喰の壁や軒、ひさしなどに傷みや汚れが目立つようになってきていた。平成の大修理では、漆喰の塗替えや大天守の屋根瓦の全面葺き直しなど、保存のための修理に徹したという。また、世界遺産の姫路城のPRということもあって、修理状況を公開し、見学の人々に匠の技を見せるべく、見学ブースも設けられた。大天守を覆う素屋根を取り外し、化粧直しを施された大天守が現れたときは感動の渦だったそうである。
白漆喰総塗籠造りの姫路城。文字通り屋根瓦以外の壁から軒、軒下、軒裏にいたるまでを、白い漆喰でくまなく塗り固めている。瓦と瓦の継ぎ目にも下塗り、中塗り、上塗りの漆喰が施され、「白すぎる」「いや、これが本来の姿だ」などと物議を醸し出した平成の大修理であるが、3月の終了を機に、白鷺城と親しまれる姫路城と白鳥城として名高いドイツのノイシュバンシュタイン城と連携協定を結ぶ予定だとか。ドイツより持ちかけられたというこの提携構想は、具体策はこれからというものだが、姫路市出身にドイツで学んだ哲学者・和辻哲郎や、ドイツ文学者の池内紀さんらがいることからドイツとのゆかりが深く、姫路市としても世界遺産・姫路城の美しさを世界に知ってもらうよい機会と乗り気のようだ。
快晴の秋の日に姫路城全体をを眺めると、目の覚めるような漆喰がまばゆい輝きを放っていた。白鷺が飛び立つ春の大修理の終了がいまから愉しみである。
稲葉 秀一
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