東洋一の夢の架け橋
兵庫県淡路市と徳島県鳴門市との間にある鳴門海峡は、播磨灘(瀬戸内海)と紀伊水道(太平洋)を結ぶ幅1.3キロメートル、深さは最新部で80メートルという。春と秋に見られる渦の大きさは、世界でも最大級といわれ、イタリアのメッシーナ海峡、カナダのセイモア海峡と並び世界三大潮流のひとつとされている。
その潮流の上を通る本州と四国を結ぶ橋が、1985年の完成当時には東洋一と謳われた"夢の架け橋"大鳴門橋である。
橋の建設まで
鳴門海峡に橋を架けることは周辺住民の悲願であったという。1914年(大正3)に架橋議案が出されたが当時の日本はその技術がなかった。1973年(昭48)に着工まで漕ぎ着けたものの、その後のオイルショックで工事は凍結という運命に。橋の建設は1975年(昭50)にようやく着工の決定がなされ、翌年工事が着工された。
多柱基礎工法
ついに完成をみた大鳴門橋は全長1,629m、長さ144mの2本の主塔より直径84cmのケーブルで吊られている。構造は上部デッキを6車線の自動車専用道路とし、下部を鉄道とした道路鉄道併用橋だが、現在は暫定施工分として道路4車線のみ開通している。橋の基礎は多柱基礎法とよばれる水中基礎工法が用いられ、渦潮に影響を及ぼさない配慮がされている。
渦の道の誕生
大鳴門橋は淡路島と四国をむすぶ全長1.629mの鉄道と道路併用の吊り橋で、下段を走る鉄道として高度掲載成長当時には四国新幹線が計画されていたという。けれど四国新幹線は予算の問題から実現しないまま時が過ぎ去った。2000年4月(平12)には、鉄道が走るはずだった空間を有効利用したかたちで、「渦の道」という渦潮見学施設をオープン。海上45メートルの高さにある遊歩道を450メートル歩ける構造で、ガラス張りの床から渦の姿を眺めることができる。
満月と新月にみられる大潮だが、特に春と秋の大潮の時期には潮の流れが時速20キロメートルにもなり、最大級の渦潮が観察できることから人気を集めている。