古き良き函館の優美

函館市

  

コリント式柱廊玄関

1907年(明治40年)の函館大火で消失した建築の復興事業により建設された旧北海道庁函館支庁庁舎は、北海道庁技師の家田於菟之助の設計により竣工され1909年(明治42年)に完成した。
木造二階建ての西洋建築で、屋根窓とレリーフ、古代ギリシア建築様式で装飾のあるコリント式柱、中央部に膨らみのあるエンタシス風の巨大4本柱のある柱廊玄関が最大の特徴。列柱上部の優美な植物や蔓を図案化した装飾は建造物に優美で繊細な表情を与えている。

建物外観

建物外観

エントランス

エントランス

エントランス正面

エントランス正面          

歴史的価値の再発見

昭和30年代には空き家となり荒廃していた旧函館市庁舎が蘇ったきっかけは、函館山最高峰の御殿山を背景とし、江戸の時代より行政の要が置かれてきた地を元町公園として整備するにあたり、旧北海道函館市庁舎の歴史的価値を鑑み現地保存を切望した市民の声だったという。
1982年(昭和57年)元町公園が開園。現在は旧北海道函館支庁舎ほか、明治洋風建築が存在する異国情緒あふれる観光地として注目を集めている。1985年(昭和60年)旧北海道函館支庁舎の北海道開拓における歴史的価値を高く評価され、北海道有形文化財として指定された。

   

窓詳細

窓詳細

アプローチ床タイル

アプローチ床タイル

函館市の歴史を伝える建造物

1991年(平成3年)12月の火災では内部の消失がみられるも、北海道の補助と函館市の援助により復興工事が実施された。
2015年12月23日の函館新聞には、旧北海道庁函館市庁舎の完成を高らかに告げる『明治末の洋風建築技術を今に伝える美しい姿を取り戻した』との記事が掲載されている。
外観の緑色の塗装、柱、窓、漆喰壁、レリーフのひび割れなどの修復により、往年の姿を取り戻した旧北海道函館市庁舎は、函館市写真歴史館、函館市元町観光案内所として活用され、多くの市民や観光客が訪れている。

内部階段

内部階段

2階内部

2階内部